稲田道彦「幕末期の四国遍路の巡礼路の変更」の番外札所
稲田道彦香川大学教授の論文に幕末期に納経している番外札所がまとめられている。
現代の遍路案内書に拝所として掲載されている場所
<阿波>
五百大阿羅漢 ,長戸庵,柳水庵,右衛門三郎霊跡杖杉庵,慈眼寺,月夜御水,箸蔵寺
<伊予>
十夜ヶ橋,文殊院,伊与遍照院,三島本宮,古歌名所西山興隆寺,生木正善寺,金光山仙龍寺
<讃岐>
金毘羅大権現,佛生山法然寺,納経山海岸寺, 志度寺奥院地蔵寺
現代の遍路案内書に拝所として掲載されていない場所
<阿波>
邊路無銭渡光明庵,焼山寺奥院,阿波灌頂滝, 丈六寺,一宮奥院観正寺,星谷寺,安明寺(難読),月光山明王院, 一夜御候挙正寺,阿波臼嶽観音院,太龍寺岩窟・無明窟,不明所(難読),津峯大権現千福寺,土州十七ヶ所遙拝處
<伊予>
宇和島窓ノ峠七度栗務清山多福院,瞬目大師浄明寺, 宇和島四ヶ所遥拝処, 四十番遙拝所,円福寺, 光明寺,神宮寺,与州村松地蔵庵,大樂山地蔵庵,イヨ永徳寺,地蔵大士,東山延喜あん, 七水いよ(難読)
<讃岐>
屏風浦奥白方影向庵, 慈願山遍照院,厄除弘法大師神光院,白峰根香之間吉清水庵,岩田山蓮香寺,神光山大蔵院,一宮田村大社,聖天山,春日川攝待茶堂,八島櫻庵,護摩所金剛庵,白鳥大神宮
*重複と思われるものは統一した
土佐十七処遥拝は薬王寺、宇和島四処遥拝は大宝寺で納経していたようだ。
完全に不明な寺院は安明寺、神宮寺、大楽山地蔵庵、東山延喜庵、七水いよ、聖天山だろうか。
月光山明王院は吉野川市に現存、挙正寺は拳正寺として現存、光明寺と円福寺は浄瑠璃寺手前に現存、浄明寺は丹原に現存、永徳寺は十夜ヶ橋の本坊、地蔵大士は生木地蔵のことだろうか。手懸りが必要。村松地蔵庵は今の村松大師堂と推測。影向庵は、場所からの推測で虚空蔵寺(八王寺) 、慈願山遍照院は名前から慈氏山遍照院松浦寺ではないだろうか。岩田山蓮香寺は岩田神社の別当寺だった。大蔵院、春日川接待茶堂は今も小堂が残っている。また、屋島桜庵は遍照院、護摩所金剛庵は護摩山と一夜庵のことか。
厄除大師神光院は仁和寺と東寺の納経もある納経帳なので京都三弘法の神光院ではないだろうか。安明寺は星谷寺と月光山明王院の間の納経。神宮寺は46番から48番あたりの間のようだ。
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光明寺は浄瑠璃寺そばに小堂が、円福寺は窪野に現存します。
投稿: たけのしん | 2017年8月 5日 (土) 11時57分